HARDWARE CPU編 |
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NUpowr183cの改造 |
NUpowr183cはCPUにPowerPC603ev(180MHz)を採用しPB500シリーズのドーターボードとしては唯一L2キャッシュを128KB搭載して最高の性能を誇っています。
NUpowr183cは発売時期にPB500シリーズが既に世代の古いPowerBookになりつつあったことや生産用の部品が不足していたことなどから発売数が少なく現在では入手困難になってます。 このレアなアイテムに手を加えるのはとても勇気がいるのですが、改造心を止めることが出来ずに派手に改造しています。 |
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NUpowr183の表側の写真です、白い線が改造で追加したラッピングワイヤーです右側の大きなチップが128KBのL2キャッシュ(SONY製)で左のチップがPowerPC603ev(180MHz)です。
黄色の矢印でマークした部分が各改造個所なので順番に説明していきます。 |
@クロックアップ By PHENiX |
もともと基板に付けられていた33.3333MHzのクロックオシレータを取り去って40MHzのクロックオシレーターに交換し、さらにPLL設定を5.5倍から5倍に変更することで183MHz(33.3333MHz×5.5)から200MHz(40MHz×5)にクロックアップしています。
40MHzのクロックオシレーターがもとのクロックオシレーターより大きかったので場所をずらして両面テープで固定しラッピングワイヤーで結線してあります。 元の33.3333MHzのクロックオシレータは基板にしっかりと接着されていたのでヒートガンを使ってはがしました、もし半田ゴテを使ってはがす場合には細心の注意と根気が必要になります。 |
Aメモリーの64MB化 By PHENiX |
PB500シリーズの最大容量40MBであるメモリの上限を64MBにするPHENiXのToyokiさんが考案した改造です。
PB500シリーズのメモリ容量はドーターボードのメモリとメモリーモジュールのメモリを足した値です。 NUpowr183cはドーターボードにメモリが搭載されていないので、最大容量の32MBのメモリモジュールを使用しても最大メモリ容量は32MBにしかなりません。 この弱点を克服するべく64MB化を行っています、改造はドーターボードおよびメモリーモジュールに行います。 Aの部分は拡張されたRAS信号をメモリモジュールと繋ぐためのコネクターです。 NUpowr183cの裏側と拡張RASを取り出す部分の写真は容量が大きいのでこちらに用意しました。 NUpowr183cの裏側、NUpowr183cの裏側のRAS部分アップ |
BCPUコア電圧の変更 |
クロックオシレーターを交換してシステムクロックが200MHzになってからは性能的にはほぼ満足していましたがバッテリー駆動した際の消費電力の多さと、更なるクロックアップに挑戦してみたかったのでコア電圧を下げる改造を行ってみました。
コア電圧の変更はIntel系のCPUでは大きな効果を出していますがPowerPC603eでの報告は聞いたことがなかったので慎重に作業を進めます。 まずは603evのコア電圧の推奨値と絶対値を調べます。 Motorola PowerPCには Recommended Operating Ratings Core supply voltage Vdd 2.375. to 2.625V Absolute Maximum Ratings Core supply voltage Vdd -03. to 2.75V と記述してあるので、ある程度変更するためのマージンはありそうです。 次にコアに電源を供給しているスイッチング・レギュレータを調べます。 NUpowr183cにはLinear TechnologyのLT1507というチップが使用されていました、このスイッチング・レギュレータは可変電圧仕様でチップに接続された二つの抵抗分圧によって出力電圧を変えることができます。 NUpowr183cを調べた結果、出力電圧を決定している抵抗R1,R2はそれぞれ160Ω,5KΩとわかりました、NUpowr183cの基板上の表記ではではR1->R25,R2->R27となります。 LT1507のマニュアルにはR1=R2(VOUT-2.42)/2.42と出力電圧とR1抵抗値の関係が書いてありR1の抵抗値を多少変えても出力電圧には大きな変化は出ないようです、取り敢えず手持ちに100Ωチップ抵抗があったのでR1抵抗を変更してコア電圧降下を実現することにします。 先程の数式に当てはめると100Ω=5KΩ(2.4684V-2.42)/2.42となり ノーマルの160Ω=5KΩ(2.49744V-2.42)/2.42と比べると0.02904Vの電圧降下になり推奨値にも収まり問題なさそうなので、思い切って実行してみました。 結果は取り敢えず変化なしと思っていましたが、mp3の再生などでCPUが高負荷の状態になるとハングが発生しました、たかが0.02904V程度のコア電圧の降下で動作不安定になるはずもないと思っていましたが元のチップ抵抗に戻してテストしてもハングは発生しません、ふたたびコア電圧を降下させてテストしてみるとCPUが高負荷のときに極まれですがやはりハングが発生します。 結論としては、PowerPC603evはクロックアップしている際はコア電圧を上げたほうが動作が安定するようです、すでに200MHzにクロックアップした状態でも電圧不足気味だったので多少のコア電圧の降下でも不安定になったのだと思われます、なので次はコア電圧のアップを試してみます。 この改造には一部 PHENiX Conversation Room で議論させていただいた内容も含めさせていただきました。 情報を提供していただいた、tymuさんsakaiさん、ありがとうございました。 なおtymuさんはNUpowr500/167でのコア電圧の変更に成功されています、詳しくレポートされているので是非ご覧ください。 注意:この改造は非常に危険です全ての関連資料に目を通した上で個人の責任で行って下さい。 |
CCPUコア電圧変更用抵抗のプラグ化 | ||||
コア電圧アップの改造を行う前に毎回ハンダゴテとピンセットを使わないと交換できなかった電圧変更用の抵抗をプラブ化して簡単に変更できるようにしました。NUpowr183cに改造するときはいつも恐怖ととなり合わせなのでこれでちょっと楽になります。
楽になったところでコア電圧のアップを試してみます、まずR1抵抗を390Ωに変更してみます。 390Ω=5KΩ(2.60876V-2.42)/2.42となりノーマルからの0.11132Vのアップです。 現状の40MHzのクロックオシレーターで200MHz動作の状態でいろいろ負荷をかけてみたところハングする様子はありません、心配していた熱も強化ヒートシンクで対応できているようだったので今まで安定動作しなかった42.5MHzのクロックオシレーターに変更して212MHz動作の状態でテストしてみました。 42.5MHz×5=212.5MHzはさくさく速いです、一見なんの問題もないようなので喜んでいたのですがCPUに高負荷を与えヒートシンクに熱が溜まってくると熱によるハングが発生しました(L2キャッシュをOFFにしても同じ)、熱が溜まっている状態ではまともに動作しないので間違いなく熱が原因です。 今後ファンやペルチェなど強制冷却システムを導入しない限りこれ以上のクロックアップは厳しそうです。
プラグ化した部分の写真はこちらに用意しました。 CPUコア電圧変更用抵抗のプラグ化 |
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