Attic or Garret

計画停電・対抗計画


計画停電中でも電気製品が使えるようにすることと、 電力消費のピーク時間に消費を押さえることを目的に、 電気製品のバッテリー駆動を実験していきます。
 
Step.1 バッテリーの準備
まずはバッテリーを準備、 秋月電子で購入できる中型クラスの完全密封型鉛蓄電池
WP22-12(12V22Ah)を購入。(4800円) フルメンテナンスフリーなので扱いやすいタイプです。
重量は約7kgと重い
 
WP22-12 データシート
 
2011/6/15から秋月電子では最大の12V36Ah 鉛蓄電池 U1-36NE(8,850円)の取り扱いを始めました。 重量は約11.3Kg、ニーズへの対応が早いです。
 

完全密封型鉛蓄電池 WP22-12

Step.2 充電回路の作成
おなじく秋月電子で鉛蓄電池充電器パーツキットK-00074(1000円)も合わせて購入。
 
鉛蓄電池用充電器キットの説明書
 
秋月電子で2011/6/15から鉛蓄電池用充電器 BC-3A2-12VTN(17,000円)の取り扱いを始めました。 屋根裏実験室としては自作のチャレンジをお勧めしますが、自作が苦手の方はこちらを購入すると楽ができます。 また、秋月の商品をお勧めしてますが、秋月の関係者ではありません…
 
WP22-12はキットの部品のみでは充電できないので、 パワートランジスタ 2N3055(2個300円)、放熱器(必須)なども合わせて購入が必要となります。 電源IC NJM723D(100円)も壊れる可能性があるので、予備で購入しておくと安心です。 秋月電子のキットを作るときは事前に説明書をしっかり読んでください。
 
このキットは基板が大きいのとジャンパーが必要なこと、 またコネクタが付けられないことなどがあったので、 今後を考えて新しく基板を作りました。
秋月のキットと同等です。回路図、パターンデータは公開準備中。
 
ダーリントン接続の1段目のトランジスタに キット付属の2SD1830ではなく定番の2SC1815でも試して見ましたが動作に問題ありませんでした。
 
電源IC NJM723D データシート
 

K-00074と比較

基板のみ

部品を取り付けた状態

Step.3 バッテリーからの電力供給テスト
WP22-12は購入時に充電済みの状態です。消費した後でないと充電テストが出来ないので、 充電テストの前にバッテリーからの電力供給をテストします。
今回は真夏の電力消費のピークタイムに電力消費を抑えることも目的のひとつなので、 まずは扇風機をバッテリーで駆動してみます。 室内のエアフローもPCの冷却と同様にプッシュ・プルが基本なので、 コーナンで購入した縦置きタイプの扇風機(25cmメカ式ボックス扇 KMB-2509M)を2台使ってテストします。 家電用の扇風機は100V仕様なので、DC/ACインバーター(HM-130)を使ってバッテリーから家庭用100Vを作ります。
 
25cmメカ式ボックス扇をDC/ACインバーターに繋ぐ前に、 普通のコンセントにワットチェッカーを繋いで消費電力を測定します。
2台とも強にしてルーバーも作動させた状態で測定した結果63Wattでした。
 
バッテリーは大電流が流れる可能性があるため扱いにはご注意下さい。
 

DC/ACインバーター

バッテリーと接続

25cmメカ式ボックス扇

バッテリーからの電力供給のテスト結果
状況 バッテリー電圧
測定前 13.14V
扇風機2台を1時間使用後 12.41V
扇風機2台を2時間使用後
11.61V

2時間でバッテリーの電圧が12V以下になったのでテスト終了。
あまり消耗するとバッテリーの寿命が縮みます。
完全放電してしまうと充電出来なくなります。
 
家庭用100Vの家電製品をDC/ACインバーター経由で使うときは電力損出が無視できないレベルだと思います。 なので、いずれはDCファンを使って実験してみたいと考えています。

Step.4 充電の準備
充電回路に充電用の電源を繋いで充電の準備をします。
パワートランジスタを取り付けたヒートシンクの下に1mm厚の鉄板を敷いて放熱の補助にしました。
 
バッテリーと充電回路の接続はStep.5で行います。それまでは接続しないで下さい。
 
充電用の電源には入手の楽なACアダプターを使いました。(ノートパソコン用のお下がり)
恐らく16V(2A)以上あれば充電可能です(充電時間が延びます)
推奨は19V(3A)以上、秋月電子で購入するなら
65W級スイッチングACアダプター19V 3.4A GF65I-US1934(1,700円)がお勧めです。

 
19V(3A)以上のACアダプターを使っての充電時間はざっくりで12時間程度でした。
(90%までは6時間程度)

充電テスト中

ACアダプタ

充電中は外付けのパワートランジスタと基板上のセメント抵抗(白い長四角の部品)は高温になるため十分に放熱できるようにする事が必要です。
火傷に注意してください。

セメント抵抗 143℃

ヒートシンク 58℃
Step.5 充電の調整とテスト
準備が出来たら充電回路を調整して消費済みのバッテリーの充電テストを行います。
調整にはテスターが必須です。 ワニ口クリップも2セットあると便利です。
 
使用済みのバッテリーでないと正しい調整が出来ません
(販売しているバッテリーは消耗を避けるため充電済みです)
 
充電回路に最初にバッテリーを接続すると電源IC NJM723Dが壊れることがあります。 必ず充電用の電源を充電回路に供給した後にバッテリーを充電回路に接続します。
バッテリーのプラスとマイナスを逆に接続すると充電回路に大電流が逆流して部品の破裂の可能性もあり危険です。 十分ご注意ください。

 
1. 充電電圧の調整
充電電圧は充電回路からバッテリーに接続する端子をバッテリーに接続せずにテスターに接続して、 その電圧が13.68V(充電電池電圧[V]×1.14)になるようにVR2を回して調整します。 (VR2の位置は回路図参照)
WP22-12の仕様書ではサイクル充電の充電電圧は14.4〜15Vとなっています。今回は急いで充電する必要がないのと発熱も心配なのでトリクル充電での電圧に設定しました。
2. 充電電流の調整
バッテリーを接続する前にVR1を左一杯に回しておきます。使用済みのバッテリーを接続して セメント抵抗の両端にテスターを繋ぎ電圧が2.2V (セメント抵抗が1Ωの場合は、充電電池容量[A]÷10、5Ωの場合は充電電池容量[A]÷2)になるようにVR1を回して調整します。 (VR1の位置は回路図参照)
3. 充電完了の確認
バッテリーの充電が進むと、パワートランジスタの発熱が収まってきます。 セメント抵抗の両端の電圧が0.1V以下になれば、完全に充電が終了しています。 充電完了後で充電回路を接続したままの状態でも、 フローティング充電に切り替わるため過充電になることはありません。
初回の充電の時は定期的にバッテリー自体の温度を確認するなど、 回路が正常にしているか確認してください。
充電回路はトリクル充電に対応しているので、常に充電しながら、負荷に繋ぐことは可能です。 今回は、計画停電対策なので、サイクル充電を想定しています。


充電電圧の調整

充電電流の調整

続く…

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