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M5の回路は素直だ。普通、ゲームマシンは真似されないようにわざとピン配列を変えたりメモリアドレスを入れ替えたりして複雑にしているが、
M5は真似されたらそれでも良い、という気持ちできれいに並べてある。
一人でも多くの人が使いやすいコンピュータを、というのがソードの思想だからだ。
「M5インターフェース実戦テクニック」誠文堂新光社 「M5こぼれ話」より参照 回路がシンプルなのはコスト面も考慮してのことだと思いますが、最後の部分はソード設立時から受け継がれた思想です。これが全てを物語っているような気がするのですが... (もし知っている方が見ていたらこっそり教えてください) |
ハードウェアをみると、CPUはZ80(3.58MHz)と当時のスタンダードです。メモリーはRAM 4KByte / ROM 8KByte / VRAM 16KByteと当時のレベルでも貧弱ですが低価格(49,800円)とマシンの性格を考えれば仕方ないところです。 8KByteのROMはモニタ機能(DOS/V機のBIOSに該当)のみでBASICは外部カートリッジで供給されます。 RAMの拡張用に拡張メモリ・カートリッジが存在しましたがM5のスロットは一つしか存在しないので、メモリーを拡張するためには拡張ボックスEB-5(左写真)を購入する必要がありました。
BASICのカートリッジは標準で付属している基本機能のBASIC-I、音や絵の機能を重視してゲーム開発に便利なBASIC-G、計算機能を重視したBASIC-Fと3種類存在しました。(BASICカートリッジを使うことでRAMも4KByte拡張されます)
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外観の特徴としては渋いグレー基調の本体とスロット周辺のイエローのアクセントが絶妙で素晴らしいデザインです、重量は800gと本当にコンパクトで軽いマシンです(ただしA/Cアダプタが恐ろしく大きくて重い)。さらに良く見るとキートップの形がさり気なく5角形になってます。 5角形のキートップはM5をデザインしたデザイナーの強い意向があって実現したものだそうです。妥協のないデザインもM5の魅力のひとつですね。 写真のマシンのキートップには本来あるはずのひらがながプリントされていません。譲ってもらったときに既にこの状態だったんですが、このマシンの詳しい情報知っている方がいたら教えてください。 M5を作ったSORD社は、日本のAppleと呼ばれれるほどベンチャー企業として注目されていた会社でした。 場合によっては現在のMicrosoftのライバルになっていた可能性もあった程です。 SORDは1970年3月に椎名蕘慶さんをはじめとする東北大学 工学部のOB数名により設立されます、目標は当時高額であったコンピュータを低価格にして誰でも電卓のように簡単に使えるようにすることでした。 Microsoftの設立が1975年4月4日(法人化1981年)、Appleの設立が1976年ですからいかにSORDが先進的だったか分かります。 SORDの功績は現在でもEXEL等の表計算ソフトの中に身近に存在しています、表計算の基本ソフトの特許はSORD社が持っていたからです。 (残念ながらSORD社の事業は東芝に売却され現在SORD社は存在しません、設立者の椎名さんは現在プロサイド社を設立し活躍されています) |
イメージキャラクターは森尾由美、この頃はパソコンのCMにアイドルが起用されることが普通になっていました。 |
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